禁煙治療が健康保険の適用になって2年半。補助薬はこれまでのニコチンパッチに加え、5月にニコチン不使用の内服薬も登場、脱たばこ治療が加速している。ニコチン依存症は喫煙量にかかわらず、体質的に依存度が高い人が少なくないといい、専門医は「禁煙できないことで自分を責める前に相談を」と呼びかけている。
「せきや痰(たん)、息切れなどで来院し、原因が喫煙と分かり、禁煙治療する人が大半」と話すのは、日本医大呼吸ケアクリニック(東京・九段南)所長で同大呼吸器内科教授の木田厚瑞(こうずい)さん(63)。肺気腫(きしゅ)や慢性気管支炎といった慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)治療で知られ、『肺の生活習慣病(COPD)』などの著書もある。
「患者本人がなぜ禁煙するのか納得することが大切。『健康に悪い』など漠然とした理由ではなく、喫煙による肺の異常を検査結果で示し、吸い続ければ肺気腫や肺がんなど深刻な事態になると説明」したうえで、(1)パッチなどニコチン補充(2)ニコチン不使用の内服薬(3)薬は使わず生活改善-から患者が治療方法を選ぶ。
「禁煙による不眠やイライラなど患者の訴えをよく聞き、禁煙継続の助言を行う。脂っこい食事やコーヒーなどは喫煙を誘うので避け、散歩やシャワーで気分転換を図り、食欲が進むのでダイエットも行う、など。だから診察は1時間前後かかる。禁煙治療はまさに生活習慣病治療」
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