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どうやったら転職できるか!?
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IT エンジニアの世界でも、中途採用を積極的に行う企業が増え、以前に比べて転職が容易になっている。その一方で転職した後に、「転職に失敗した」といって人材紹介会社に駆け込むITエンジニアが急増中だ。失敗しないためにできることは何か。パソナキャリアの人材コンサルタントがそんな疑問に答えよう。
■IT系企業、どのくらい知っていますか?

そもそもIT系の企業、どのくらい知っていますか?

新卒の就職活動のときに知った企業、いまの仕事で関係がある企業、インターネットや雑誌で記事を読んだことのある企業……。

私もITエンジニアとして勤務していた経験があるのですが、転職支援の仕事を行うようになって、こんなにたくさんの企業があったのか、こんなレベルの高い企業があったのかと、驚くことがあります。マーケティングなど市場の調査を担当しているITエンジニアでもない限り、普通に働いている方は、自信を持って多くの企業を知っているといえる方はいないのではないでしょうか。

今回は、企業名に引かれて転職したものの、入社して業務を始めてからやっと、求人の全貌を知ることになったSさんの例です。
■フィールドエンジニアからITエンジニアに転身

Sさんは、大学卒業後大手メーカーのグループ企業に入社し、機械のフィールドエンジニアとして勤務していました。しかし勤務して3年ほどたったころ、もともと興味のあったネットワークにさらなる興味を持ち、IT業界に転職をすることにしました。

未経験からの転職ではありますが、持ち前のコミュニケーション能力と前向きな姿勢で、教育系のソリューションを提供する企業に入社が決定し、転職しました。当初は、社内SE(システムエンジニア)として、社内のPCサポートからスタートしながらも、最終的には社外向けのネットワーク構築をはじめ、ネットワークエンジニアとしてキャリアを積むことができました。

仕事にそれほど不満はなかったものの、あるとき、中途採用の年齢の上限で多いのが、35歳ぐらいだということにWebサイトを見ているうちに気付いたSさん。そこで、34歳の誕生日を迎えたとき、ネットワークエンジニアとしての仕事の幅を広げるため、最後の転職のチャンスとして(奥さまにも了承を取り)、2度目の転職を決意しました。

Sさんは、先に述べたように当初の3年は機械系のエンジニアとしてのキャリアを積み、その後キャリアチェンジをして、社内SE、ネットワークエンジニアとなったため、ほかのITエンジニアの方と比べると、実績面で多少不利な転職活動となりました。

とはいえ、リーダー経験やマネジメント経験は積んでいます。最初の転職で評価されたコミュニケーション能力は、今回の転職活動でも高く評価され、それが功を奏したのか、最終的には数社から内定を得ることができました。
■グループ会社のP社か、ネットワークベンダか

内定企業のうち、Sさんがどこに入社すべきか迷ったうちの1社が、最初に入った企業と同じグループ企業に属するP社。システム部門を立ち上げ中の事業会社で、プロジェクトリーダーとしての活躍を期待されたポジションです。年収は650万円を提示されました。ただし、初めの1年間は契約社員での採用です。

もう1社は、成長中のネットワークベンダのB社。営業にかかわりながらもネットワークエンジニアとしてキャリアを積めるというポジションです。当初の提示年収は580万円でした。

年収が600万円のSさんにとっては、P社が最も高い年収での内定になります。しかもP社はSさんの希望・キャリアにぴったりのポジションです。

B社が提示したポジションもSさんにはいいものです。ただし問題は年収です。

S さんからは、年収ダウンになるのであればあまり転職する気になれないと伺っていたので、コンサルタントとしてB社と交渉しました。B社は、Sさんを高く評価していたので、できる限りの調整をし、当初は契約社員として半年働いてもらうが、その後正社員として採用し、その際の年収として630万円という提示をいただきました。

しかし、結局SさんはP社に入社を決めました。入社を決めた理由は、B社よりも高い年収と最初に入社した企業と同じグループの企業であったという安心感でした。P社との面接では、グループ会社の件で盛り上がったそうです。
■入社後に分かったP社の現状とは

入社して半年後、Sさんから連絡がありました。

「P社、次年度の雇用契約の継続はなさそうです……」

P社の立ち上げる予定の新規事業の内容について、求人のヒアリングをした際には社外秘ということで教えてもらえませんでした。Sさんも社内の現状は入社後に知ったとのことでした。

もともと印刷系企業だったP社は、ほかの印刷系の企業がIT分野へ進出して成功したことから、遅まきながらIT事業を立ち上げようとしていたとのことでした。とはいえ、実際のところ、社内の体制はまったく整っていない状況でした。

ネットワークエンジニアとしてキャリアアップしようとしたSさんですが、1年の契約で終了することになりました。

次の転職では、キャリアに進展はほとんどないにもかかわらず、短期間に転職回数が1回増えてしまい、厳しい転職となってしまったのです。
■社名だけで判断せず、面接で確認を

Sさんの入社を大きく左右したのは、P社のグループ名でした。新卒で入社したときと同じグループ会社だったので、グループ会社の話で盛り上がったことで、何となく分かった気になってしまったことが、転職が失敗する原因の1つとなったのでした。

同じグループ内といっても、社風や制度などが異なるのがほとんどです。事業部が違うだけでも、社風が異なるというケースはよくあります。

社名や、自分のネットワークの一部の接点だけ(知り合いのうわさなど)で判断するのではなく、面接の場で一緒に働く方や社内の雰囲気を見、時には質問をすることで、じっくりと転職先を判断するようにしましょう。

人材紹介会社では、面接の場で聞きにくい質問に対して、代わりに企業に確認したり、企業に悪い印象を与えない質問の方法をアドバイスしたりすることが可能です。納得したうえで、入社を決めるようにしましょう。
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IT エンジニアの世界でも、中途採用を積極的に行う企業が増え、以前に比べて転職が容易になっている。その一方で転職した後に、「転職に失敗した」といって人材紹介会社に駆け込むITエンジニアが急増中だ。失敗しないためにできることは何か。パソナキャリアの人材コンサルタントがそんな疑問に答えよう。
■内定獲得だけでは喜べない

皆さんの多くは、学生時代に就職活動をしたことがあるはずです。就職活動をした方の中には、内定を数社からもらった後、じっくり悩んだ末に入社を決めた方もいらっしゃるでしょう。もしかしたら、内定が出たのは1社のみで、仕方なく入社を決めたという方もいるかもしれませんが……。

中途採用では、多くの会社から内定をもらったからよし、というわけではありません。

今回ご紹介するSさんは、順調に選考が進み、第1志望の企業を含む数社から内定をもらったものの、第1志望の企業に入社せず、転職活動を仕切り直しするため、弊社にお越しになりました。なぜそんなことになったのでしょうか。
■SAPの経験・資格を生かすため転職を決意

S さんは、大学卒業後、システム関連会社に入社しました。仕事内容は、客先常駐のシステムサポートでした。当初は簡単なヘルプデスク中心の業務でしたが、勉強熱心なSさんは新しい技術も習得しながら、顧客の信頼も得て、サポート先の社内SEのようなポジションで働くようになりました。

さらに、Sさんは企業の支援を受けてSAPの認定資格も取得しました。資格取得後は、SAP R/3に関するサポート業務や、R/3導入に際してのマニュアル作成・トレーニングまで担当するようになりました。

顧客からは高い評価を受けていたものの、会社の方針でSAPに関する業務を縮小することとなってしまったため、SAPにかかわる業務を希望するSさんは、キャリアアップを希望して転職を決意しました。

入社する会社が決まってから退職したいSさんは、仕事は忙しいながらもインターネットで求人を探し、応募手続きを進めました。Sさんはたくさんある求人の中から、自分のキャリアを生かせそうな求人に絞って応募しました。ある程度企業数を絞って応募したものの、企業から評価の高いSAP資格を持つSさんは、ほとんどの企業で書類選考を何なく通過したのです。
■そして第1志望の企業から内定が出たが……

書類選考の結果、同時期に6社の面接の調整を進めることになりました。面接の慣れなどを考え、志望度合いの低い企業を先にして日程を調整しました。

そのころ、Sさんの仕事はある程度落ち着いていたものの、6社の面接の調整はかなりの負担になりました。企業からの選考の結果を帰宅後に毎日確認し、企業の優先順位を考慮しながら仕事の予定を見比べて日程を調整し、日中に面接をせざる得ない場合は有休を取るため会社に申請をし……。企業との調整は、やりとり自体も選考の1つのように感じ、気を抜くことができません。

コミュニケーション能力の高いSさんは、面接も順調に進みます。先に調整していた企業では、いままでの年収を100万円以上も上回る条件で内定通知が出ました。ほかの会社の条件を見てから判断しようと思いましたが、回答期限を決められてしまい、第1志望の企業の2次選考前に判断しなくてはなりません。第1志望の企業の選考を優先し、辞退することにしました。

さらにほかの企業の内定も続々と出ましたが、第1志望の企業の感触もよく、内定の手応えもあるため、入社する気分になりません。

ついに、第1志望の企業より内定が出ました。大変だった転職活動もこれで最後、条件を確認して入社手続きを進めようとしたところ、提示された年収は想定よりも大幅に下回っていて、毎月数万円の収入ダウンとなり、入社をあきらめることにしました。

仕事をしながらの求人探し、面接などの調整にも疲れを感じるものの、転職を決意してからは、いまの会社で働き続ける意欲もなくなってしまいました。しかし、応募したいという企業が見つかりません。転職活動の再スタートを切るため、弊社に相談にいらっしゃったのです。

面談を通じてSさんならばコンサルティングファームもチャレンジ可能と考え、ファーム2社を含む、十数社をご紹介しました。Sさんは将来的には興味があるけど、まだ無理だろうとしてコンサルティングファームに応募していませんでした。今後の転職活動のスケジュールを綿密に打ち合わせし、まずはコンサルティングファーム2社に応募し、選考の状況を見てほかの企業にも応募することにしました。2社の選考は順調に進み、結果として2社から内定を獲得し、条件や仕事内容などじっくり比べたうえで、社風が合うと考えたA社に入社を決定しました。
■応募のタイミングにもコツがいる

最終的にはSさんにとって良い結果となりましたが、受けたい企業も受けきってしまった後で、辞退した企業の内定を受けていれば、と後悔しても手遅れです。転職活動を進めていくうちに在籍している企業で働く意欲を失ってしまい、どうにもならなくなってしまうケースもあるようです。

今回のSさんの当初の失敗は、条件を把握しないまま、企業の取捨選択を行ってしまった点にあります。中途入社の場合は、前の会社の収入で生活基盤ができているため、年収などの条件をきちんと確認してからでないと、入社を決定することは難しいといえます。

一方で、新卒採用とは異なり、内定後の回答期限が比較的短期間であるのが中途入社です。会社に在籍しながらの転職活動では、面接の日程調整も難しく、うまく調整しないと内定をもらってから条件を比較することができないこともあります。

応募する際のポイントとしては、比較したい企業があるのであれば、同時期に内定が出るように調整することが重要です。できる限り情報収集を行い、応募の日程を綿密にプランニングするとともに、必要に応じて企業と面接日程の交渉なども行う必要があります。

入社を短期間で決断せざるを得なくなるケースもあるので、どのような条件が出たら入社を決めるか、事前に決めておくのもお勧めです。年収を含めた条件については、月額で最低何万円は必要といった妥協ラインを把握するとともに、譲れない条件がある場合は応募時に伝えておくと、年収面での行き違いは減りますね。

人材紹介会社を利用すると、企業との調整(ほかの企業と比べ、選考が遅れている企業がある場合、企業に選考を早めるよう働き掛けたり、年収の交渉も行います)や情報収集が楽になると思います。仕事をしながらの転職活動に戸惑いや悩みなどがあれば、人材紹介会社に相談してみることも解決策の1つだと思います。

IT エンジニアの世界でも、中途採用を積極的に行う企業が増え、以前に比べて転職が容易になっている。その一方で転職した後に、「転職に失敗した」といって人材紹介会社に駆け込むITエンジニアが急増中だ。失敗しないためにできることは何か。パソナキャリアの人材コンサルタントがそんな疑問に答えよう。
■目指している企業があるから

あなたはチャンスがあったら入社したい企業はありますか。新卒の就職活動のときに挑戦したけれど不合格になってしまった企業、誰もが知っている大手企業、ある分野ではトップクラスの技術力を誇る企業……。

IT業界における最近の人手不足のため、かつてはかなりハードルの高かった企業でも、数年前に比べるとかなり募集要件が緩和されている求人も見受けられます。そのため、あこがれの企業に入るチャンスが広がっているのが現在の転職マーケットといえるでしょう。

そんな中、ずっとあこがれていた企業に入社したものの、短期間で離職を決めたKさんの例をご紹介します。
■目指すはあこがれのA社

「A社を受けたいのですが、御社経由で応募できますか?」

Kさんと初めて話をしたのは、IT教育ベンダのA社の応募に関する問い合わせからでした。話を伺うと、Kさんはもともと教育に興味があり、A社の研修を受講した際に『自分もA社でインストラクターとして働きたい』と決意し、キャリアを積んできたとのことでした。

Kさんは有名大学を卒業後、ネットワークベンダでITエンジニアとして勤務しながら、社内で教育にかかわる機会を見つけては、新人の教育などインストラクターの業務なども担当していました。

スキルについては、シスコシステムズのシスコ技術者認定資格を取得していましたし、シスコのルータ/スイッチの上位機種を扱った経験や大規模なネットワークの設計・構築経験もあるうえ、プロジェクトのリーダー経験もあり、ネットワークエンジニアとしても大いに評価されるキャリアをお持ちでした。

A社の求めるスキルの要件は十分に満たしており、教育に対する熱意や、はきはきして明るい印象のKさんは、お会いしたときにすぐ、A社から内定を得ることは可能だと感じました。

とはいえ、ほかにもIT教育を行うことのできる企業があるので、Kさんに勧めてみたところ、もしA社が不合格になったら考える、ということで、ほかの企業は応募せず、A社一本の転職活動をスタートさせました。

書類選考はもちろんあっという間に合格の通知があり、面接もとんとん拍子で進みました。最終選考については多少結果が出るのが遅かったものの、最終的に内定となり、Kさんは晴れて念願のA社に入社することになりました。
■入社後、企業からKさんに関する相談が

入社後しばらくして、A社の人事の方と会う機会がありお話を伺うと、Kさんについて心配事があるとのことでした。「Kさんのスキルは問題がなく、人柄も問題がない。でも、何となく熱意のようなものが感じられない」

入社後の状況を、Kさんに確認するよう人事の方より依頼がありました。

念願の会社に入社できたKさんなのに、と思いながらも、Kさんに状況を尋ねてみました。

「実は、A社で働くことについて疑問を感じているのです」

Kさんによると、想像したとおり会社の人々は素晴らしいインストラクターの方がいっぱいだった。とはいえ、会社のカルチャーは前に在職していた会社とまったく異なるうえに、仕事の厳しさ・忙しさは想像以上で、ずっと働くことは無理だと思う、とのことでした。

いろいろ相談を伺った後、「新しい環境に慣れることができず、少し壁にぶつかっているだけかもしれないので、もう少し頑張ってみよう」という結論となり、しばらく頑張ってみることになりました。

しかし数カ月後、やっぱり退職を決めたという連絡をKさんより受けました。
■念願の会社を短期間で離職した理由は

企業からも話を伺ってみました。それによると、最終面接の結果が遅れたのは、熱意やスキルは申し分なかったので最終的には採用を決定したが、何となく違和感を覚えたとのことでした。

いわれてみれば、私が行ったキャリアカウンセリングにおいても、ほとんどA社の志望動機のみを聞いていたような印象だったことを思い出しました。

A社に入りたい気持ちが強くなってしまったあまり、A社向けにキャリアを積んできただけでなく、キャリアビジョン・自分の働き方の希望まで、A社ありきで組み立て(思い込んで)しまっていたのでした。

通常であれば、面接の場などで会社の雰囲気や仕事の実際の状況などを確認して、入社を決定することになるのですが、Kさんの場合は、A社に入りたい気持ちが先にあり、きちんと吟味(ぎんみ)することがありませんでした。

働き始めてやっと、本来の自分の目指すところに気付いたのがKさんだったのです。

結局、Kさんはもっとゆっくり働くことのできる企業に転職し、インストラクターとして活躍しています。
■行きたい会社があるあなたこそ要注意

もう行きたい会社が決まっているから、特に相談する必要もないからといっている方にこそ、実は注意が必要なのかもしれません。

その会社の入社への熱意があるあまり、本来の自分の希望や目標を見失ったり、会社を吟味する眼がくもってしまうこともあるからです。

まずはフラットな気持ちで、キャリアカウンセリングを受けることをお勧めします。本来の自分の希望や目標を話すことで、本当にあなたに合ったキャリアプランを考え、会社を選択するアドバイスを受けることができるからです。

就職氷河期に苦労した世代が、自分の本来の希望を転職で叶えようとする。いわゆる『リベンジ転職』である。

Tさん(25歳)も最初は、そんなひとりだった。目指す職種・業界によっては決して楽ではないリベンジ転職だが、Tさんは特定の企業にはこだわらず、「ネット関連企業に転職したい」と希望を述べた。流通のスーパーバイザーだった彼の視野は、広く転職を考えたことで、大きく開けていた。
もっともTさんは、我々の楽観的な話を聞いても、本当に可能性があるのかどうか疑心暗鬼だったようだ。就職の時、Tさんは有名ネット会社でまるで相手にされなかったことをよく覚えていた。

「大学名を言った途端に興味がなくなったように見えました。ああいう会社は、実力主義で出身大学は気にしないと思っていたんですけど、僕の印象ではむしろ逆で、ブランド大好きみたいな感じがしたんですよね」

多くの企業が採用を控えるなか、大量採用をしていたネット業界は、当時学生だったTさんの目にはさぞかし輝いて見えたのだろう。だが、ここ数年の市場の変化は、Tさんの想像を超えていたようだ。かつて鼻であしらわれた企業から熱心な勧誘があり、Tさんは大いに気をよくしていた。そして一通り一次面接を終えたところで、手応えの良かったA社を、「学生時代に入社を熱望していたベンチャー企業と雰囲気がよく似ている」と、第一志望にしたのだった。

二次面接に向かうTさんは、すっかり意気揚々としていた。ある場面を見るまでは…。
A社の面接を待っている時にTさんはA社の採用担当者が礼儀のなっていない学生たちに頭を下げ、お世辞を言い、媚びへつらう姿を見た。そして思った。
「4年前、あれだけ自分たちに厳しく当たったくせに、景気が変わったらこれか」
A社は、4年前にTさんが受けた会社とは別の会社なのだが、彼のなかではほとんど同一視されていたらしい。こんな風に変わってしまう業界は、とても信用ならないという気持ちが彼のなかに芽生えていた。
幻滅は、徐々に復讐心に変わっていったが、彼はその時点では何も語ろうとはしなかった。我々にTさんの心境の変化を知る術はなかったのである。

選考を無難にこなしたTさんは、A社から内定を得た。それを知ったTさんは、嬉しそうな声で「前向きに考えようと思います」「入社の方向で考えています」と言いながら、結論を先送りにし続けた。
そして、いよいよA社が「もう、これ以上は待てない」と言った期限になって、「お断りします。実は最初からあまり乗り気ではなかったんです。ひょっとして気持ちが変わるかもしれないので、念のため結論を延ばしていただけなんです。転職活動はやめて、現職に留まることにします」と、言ってのけたのだった。その後、一度だけTさんが我々に送ってきたメールによれば、気を持たせるやりとりは、自分が学生時代に別のネット事業会社からやられた「仕打ち」なのだそうだ。

それっきりTさんとの連絡は途絶えてしまったので、彼が本当に現職に留まったのか、転職をしたのかはわからない。A社の人たちはTさんの対応に驚き、不快感を示したが、決して激怒したわけではなかった。「変な人を採らなくてよかった」彼らはそう安堵していた。三週間後、A社はTさんに代わる別の人を見つけて採用した。

Tさんの行為は、本当に自分の過去に対する復讐だったのだろうか。仮に復讐だったとしても、A社に唾したTさんの気持ちが晴れたとも思えない我々なのである。

我々、転職アドバイザーの仕事の中心は面談とマッチング、そして次に多くの時間を割くのが転職活動者とのやりとりである。
選考が佳境に入ってくれば、一週間毎日電話で話したり、一日に何度もメールをやりとりするなど、一時的にせよ、かなり蜜に連絡を取り合うこともある。コミュニケーションの頻度が増せば、自然に感情的な結びつきも強くなる。

臨床開発:Kさん(29歳)と我々は、選考が進んだ二週間、頻繁に連絡を取りあうことになった。
Kさんへの連絡が多くなったのは、3社の選考が同時に進み、それぞれが他社に負けまいと色々な条件を提示してきたためであった。もちろん、待遇だけでなく仕事内容や勤務地も重要な要素。Kさんは慎重に各社の話を比べながら、我々と様々な話をすることになった。

Kさんは初回面談の時、警戒をしていたのか、キャリアのことばかりで、自分のプライベートについては何も語ろうとしなかった。それが二週間のなかで、恋人のこと、両親のこと、自分の趣味のこと、色々な話をしてくれるようになっていた。ビジネスライクだった彼のメールは、いつしか、ユーモアを交えたカジュアルなものに変わり、Kさんが我々との間に親しみを感じてくれているのが見て取れた。

ところが、いよいよ最後の決断という時になって、Kさんの状況が変化した。辞職届を出したところ、現職企業から強い慰留があり、転職を取りやめることにしたらしいのだ。
強い慰留があるのは予想されたこと。我々は早くから「相当強い引き留めがあるだろう」と予告していたが、Kさんは「自分の意志は固い」と繰り返していた。にも関わらず、現職に残ることにしたKさん。内定先や我々への気まずさもあったらしく、事実関係だけを伝える短いメールを最後に、連絡が取れなくなってしまった。

Kさんの気持ちを慮れば、それで終わりにすべきだったのだろう。しかし、我々にはそうできない事情があった。内定を出していたうちの一社が「どうしてもK さんを諦めきれない。どんな条件なら考え直してもらえるか、聞いてみて欲しい」と強い要望を出していたのだ。我々は何度かKさんに連絡を試みたが、明らかに彼は我々を避けており、ついに返信はこなかった。

頻繁にやりとりをしていたのに、パタリと連絡が来なくなる…、これは、しばしばあることで、アドバイザーは誰もが同じような経験をしている。無料でサービスを行っていることもあるのか、アドバイザーに「お世話になっている」と感じ、内定を辞退することに罪悪感を持つ方は少なくない。
「気まずい」と思ってもらえることは、ある意味、信頼してもらえている証しなのだと思う。我々に対し、一片のシンパシーもなければ、心の痛みもなく連絡を取り合える。躊躇してしまうのは、それだけ、人間的な関係が築けていた証拠だ。しかし、そのせいで連絡しにくい相手になってしまうのは我々としては不本意なわけである。

一度、完璧に音信不通になったKさんだが、半年後、再度転職活動を開始することになった。現職の会社が、慰留の時の約束を破ったからだ。もちろん、アドバイザーは以前の経緯など気にしていない。突然連絡がなくなるのはよくあることだし、彼が気まずいと感じた理由も理解できる。
しかし、Kさんは以前のアドバイザーに連絡をせず、あらためて登録しなおす形で我々にアクセスしてきた。いや、まったくの新規登録者を装ったわけではない。Kさんは転職に際し条件を出してきた。

「以前の担当アドバイザーの方に内緒で登録したい」

気持ちはわかるが、よりよい転職の実現を目指す上では、あまり得策ではない。そもそも、新しい担当アドバイザーは、以前の転職の経緯を前担当者から聞く必要がある。新しい担当がつくことでKさんには納得していただいたが、ここまで気に病まれてしまうのは、我々としては逆に申し訳ない。

何でも話してもらえるパートナーでありたい。しかし、同時にビジネスライクに付き合えるエージェントでもありたい。ふたつを両立するのは、なかなか難しいことである。
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