私は複数の自動車メーカーなどを渡り歩き、もうすぐ40歳になりますが、転職活動で内定を5ついただき、おそらくは最後になるであろう転職先を決めたところです。20代30代の人たちにとって参考になればと思い、これまで働いた4社での経験や、就職・転職時における会社選びの考え方、ダメな人材紹介会社の見分け方や活用法などについて、お伝えしようと思います。
【Digest】
◇ディーゼルに照準
◇年収一律7%カット
◇次を決めずに辞めたのは失敗
◇「キミはいま、何をやっているんだね?」ズブズブ三菱ふそう
◇メールで「ドクター」抜くだけで不機嫌に
◇日産自動車へ 想定外のことが続々
◇変動ボーナス込みの年収提示に騙されるな!
◇転職35歳限界説はウソ
◇若いうちは営業・購買なら外資、設計なら日本企業
◇小規模の人材紹介会社ほどカルチャーに詳しい
◇若いキャリアアドバイザーは役に立たない
◇ディーゼルに照準
大学は私大理系で化学を専攻していました。それで単純に好きなモノを扱う仕事をしたい、ということで自動車メーカーを考えました。そのなかでも、どこが強みとなる技術を持っているかを考えて、ディーゼルエンジンだと思ったんです。
ディーゼルはガソリンと比べても熱効率がよく、揮発性が少ないから安全性も高い。車だけでなく建設機械や船など、輸送用機器全般や離島の発電システムにも使われて用途が広い。これに関われる事は、自分のキャリアとしても、活躍の幅が広がると思った。
そこでディーゼルエンジンに強い、ということを売りにしていたいすゞ自動車を選びました。たまたま親がバス関連の仕事をやっており、家にそういった本があったので知っていた。ディーゼルというポイントとなる技術を持っている会社を選んだことが、後のキャリアに役立ちました。
入社後はまず技術営業を4年ほどやり、次に設計に異動して9年。つまり計13年いました。営業と設計の両方を若い段階で経験できたのはよかった。これは自分の意志を上司との面談で伝え動けた結果です。
最近、転職の面接をしていると、技術営業と設計の経験が見られているな、と思うことが多い。図面を読めてモノのつくり方が分かり、さらに営業の経験もある。両方できるというのが、キャリアとしては強いですね。
それから最後の数年は設計の中で、購買業務も経験した。外部企業からモノを購入する際に、技術者の立場から図面を見て、価格に見合った適正なものかを判断し、交渉する仕事です。様々な取引先企業との窓口役なので、いろんな会社のモノ造りの現場を見る経験ができました。
◇年収一律7%カット
キャリアとしては悪くなかったのですが、入社13年目でも年収が600万円ほどと、収入面がネックでした。当時はちょうど経営不振のまっただなかで、約1万人いた従業員のうち、リストラで4千人が去っていった時期でした。
2001 年8月に、第1回目の早期退職優遇の募集がかかりました。このときは、退職金の割り増しによって、当時の自分で800万円ほどになるという条件でした。とりあえず応募を見送ったら、翌2002年8月にも追加募h集がかかった。2回目は条件が悪くなり、退職金が600万円くらいだと言われました。自分は応募しませんでした。
結局、こうして約4千人をリストラしても、2002年終わりから2003年にかけて株価50円割れが続き、経営危機は続きます。会社に残った人たちも、年収ベースで一律7%カットという措置が決まり、仕事の負荷が増えたことや、自分の意思に反する度重なる部署の移動に耐えかねた私は結局、2003年5月、転職先が決まらないまま、辞めることにしました。
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